会社更生手続き中の日本航空の整理解雇方針に対し、日航の客室乗務員約860人で構成する労働組合「日本航空キャビンクルーユニオン(CCU)」は22日、ストライキを打つ権利(スト権)を確立した。同社管財人の企業再生支援機構は、スト権が確立すれば3500億円の出資を延期する方針を示しており、再建計画に影響が生じる可能性もある。
CCUは同日夕、スト権確立の賛否を問う投票を締め切り、組合員の89.3%が賛成、確立に必要な過半数に達した。CCUはあわせて、実際にストを打つのに必要な手続きを「留保」し、経営陣と整理解雇を巡る協議を続ける方針を決定。このため「支援機構の言うスト権確立にはあたらない」(幹部)と主張している。
日航の労組によるスト権投票を巡っては、出資を計画している支援機構が「ストに入れば事業価値を損なう」として、スト権確立時には出資を延期する方針を労組側に通告。日航は、支援機構の出資と債権カットで債務超過を解消する計画だが、出資が宙に浮けば、30日に予定される東京地裁の更生計画認可がずれ込む事態にも発展しかねない。
このため、副操縦士や一部機長ら約1750人で構成する「日本航空乗員組合」は、26日まで予定していたスト権投票を中止。これに対しCCUは、経営陣の譲歩を引き出すには、スト権を得て交渉力を高める必要性があると判断した。ただ、再建に打撃を与えないよう、実際にストを打つ手続きは進めず、硬軟織り交ぜた姿勢で労使協議を継続させる考えだ。
支援機構は23日以降、対応を議論する。実際にストに入る可能性が低いことも考慮して、出資への対応を決める見通しだ。